(今月は岩波新書2冊で、日本の経済を読み解く)

「ルポ 貧困大国アメリカ」 堤未果著   岩波新書

 世界中(特に日本)を震撼させたサブプライムローン。貧困層に一戸建てを持たせるため、、安い金利のローンを提供するという結構づくめの住宅ローンは、最初は収入目一杯でいけそうなのだが、宵越しの金を持たない国民性もあって、数年して金利が高くなるとローンが払えなくなり、差し押さえを蒙ることになる。さらに担保付証券として、金利が高く、利回りが大きいために、日本の金融機関がどっぷりとはまってしまった。
 著者堤未果はNYに居て体験したアメリカ経済の仕組み、矛盾点を鋭く指摘した。プロローグでは、貧困児童はなぜ肥満なのかという謎を解き、医療費が世界一高い理由。さらに経済的理由から、徴兵政策で兵士数千人が死んでも、イラク派遣が続けられる理由など、なるほどと得心がいく。さらに民営化が国内難民を生み、自由化(規制緩和)による経済難民の発生など、日本でもそのまま通用する状況を説明していて参考になる。著者は貧困の定義を年収200万円としている。
 最後にエピローグとして、「日本もアメリカの後を追うようにしてさまざまなものが民営化され、社会保障費が削除され、ワーキングプアと呼ばれる人々や、生活保護を受けられない者、医療保険を持たない者などが急増し始めた。」と警鐘を鳴らしている。


「反貧困」  湯浅誠著   岩波新書

 ちゃんと就労して、年収300万円あっても食えない現状。少子高齢化社会の到来は、かなり前から予測されていたのに、混乱を招いたこの国の無策からの脱出を提言している。
(後略)ついでに「格差社会何が問題なのか」橘木俊詔著岩波新書も合わせて読まれるとよい。
(がらりと変わってとてつもなく面白いアフリカ探検記)


「コンゴ・ジャーニー」上・下  レドモント・オハンロン著  土屋政雄訳  新潮社版

 この本の始まりは、表紙に写ったとぼけた表情の英国の生物学者レドモント・オハンロンとラリー・シャファーが、アフリカ・コンゴの女占い師に、コンゴの奥地のテレ湖へ恐竜モケレ・ムベンベを探しに行っていいかと占ってもらうところから始まる。こんなとぼけたドキュメンタリー探検記はないだろう。これは面白そうだ。
 旅の目的は、恐竜のほかに美しいフキナガシヨタカも見たいし、ピグミー族にも会ってみたい。興味は抑えきれないほど膨れ上がり、レドモントは滞在と探検の許可のために全財産を送金させ、着々と準備を進める。このへんの描写は詳しく、かなりメモを取ったことだろう思われる。しかしレドモントは出発前にマラリアに罹り、特効薬によって治るが、その間に手続きが遅れ、いよいよ乗船というときにビザがとれていないことが分かる。何とかこのどたばたも乗り切って、インプフンド号は、上流への遡上を開始した。同行するのは地元の学者マルセラン・アニャーニャとその弟マヌー。それに曳航する艀に3千人を生活させながら。
 この本は上下合わせて4,830円もするが、こういう本は、海外旅行先で読むと気持ちがいいだろうなぁ。