(今回は異例中の異例、同一作家の2冊を同一文庫から読み取る)

「蜂の巣 にキス」 ジョナサン・キャロル著  浅羽莢子訳  創元推理文庫
  蜂の巣とは30年前に殺されたポーリン・オストローヴァの綽名。なぜ蜂の巣かは読んでいただくとしよう。
  作家サム・ベイヤーが15才の時目撃した、ハドソン河で引き上げられた死体がポーリンであった。サムは30年前のポーリン殺人事件を本にするため、詳しい 情報を集めだした。犯人は恋人エドワード・ヂュラント。彼は刑務所で自殺していた。本当に彼が犯人なのか、動機も分からない。協力者はフラニー・マケイ ブ警察署長と、元検事でエドワードの父。それに謎めいた女、サイン会であった美人ヴェロニカ・レイク。そこに真犯人からと思われるメッセージと死のビデオ をもって長い第1章が終る。
 ヴェロニカは付き合うほどその素性怪しく、AV女優だったり、自殺カルト集団に加入していたり、愛人であったり。「ヴェロニカこそポーリンなのだ!」 「何 故そんなことするんだ」とサムを苛立たせる。
  フラニー署長が撃たれ、ヴェロニカが娘キャサンドラを誘拐したらしい。ヴェロニカを追うサム。結末は伏せたいが、解説には鬼才と呼ばれる著者は、ダークフ アンタジーという新分野を確立したという。

(よく分からん書評だなということで、同じジョナサンの短篇集を読んでみよう)

「パニッ クの手」 ジョナサン・キャロル著  浅羽莢子訳  創元推理文庫

「フィドルヘッド氏」 
 わたしジュリエットは妹レナと、同じローズ家に嫁いだ。結果わたしはエリックと破局、妹は弟マイケル・ローズと仲良くやっている。 わたしは40才の誕生日に、レナからプレゼントのイヤリングをもらった。それは5,000ドルもする高価なものだった。レナに問い合わせると、それは違う よく出来てはいるが、架空の友人が精巧に作った模造品だと言う。架空の友人?これが鬼才の証といわれてもねえ。

「おやおや町」 
 ぼくスコット教授の家に来た家政婦ビーニィ・ラシュフォースは大変なきれい好きで、家の中・車庫の掃除が終わり、地下室にかかっていた。そ こから金になりそうな物を選んできてはもらっていいかと聞いてきた。スコットはビーニィの家を訪ねた。そこには散らかった汚い家と、自殺して死んだはずの アネットが居た。3人の尽きない会話。
(これはいったいどうなるんだ、と思っていたら、次にはまともな感動的な短編がつづく、うまい編集だ。それでは飛んで最後の)

「パニックの手」
 ぼくは食堂車に乗っていた。席は空いているのに母娘が前の席に座った。母親のフランチェスカは今すぐあなたと寝たいと服を脱ぎ始める。そ こへハイジが来て入れ替わる。少女はゲームソフト「パニックの手」をして遊んだつもりかもしれない。
  小説はこの終章にある「わからないものはしかたがない。それじゃ不満だと言われれば謝るしかない」という文中のことばに集約されているかもしれない。