「報復」 ジリアン・ホフマン著 吉田利子訳 ソニーマガジンズ文庫
この本の持っていき方が面白い。全国の書店員が熱狂したという。確かに帯の裏面には賛辞が寄せられている。ただし610ページもある大長編で、それなりの時間が必要である。
1998年6月NY。セントジョーンズロースクールの学生、クローイ・ラーソンは、恋人と別れた後、待ち伏せしていた道化師のマスクをかぶった男に、子宮裂傷の暴行を受けた。ここまでが一人称を交えた三人称で語られるプロローグ。
第2部は12年後の9月から始まる。フロリダ州の捜査官ドミニック・ファルコネッティは、11人の行方不明者の写真を前に腕組みしていた。すべてが18才〜25才の美人、中には惨殺された者もいた。事件はキュービッド事件と称された。そこに犯人逮捕のニュース。ウィリアム・バントリング(41)家具商が被疑者。
クローイはC・J・タウンゼンドと名を変え、キュービッド事件捜査を支援する検察官になっていた。最初の審問において、叫んだバントリングの声を聞いてC・Jは「ジグザグのS字型の傷跡を見た。この声を私は知っている」衝撃を受け、動揺を隠しきれない。バントリングの家宅捜索の結果、証拠となる薬や道化師のマスクも見つかった。悩むC・J「どちらにしても決断しなくては」しかしいくつかの疑問がないわけではない。
法廷で二人が接するうちに、C・Jは骨張って40過ぎの女に見えるが、バントリングは気付いた「初めてみる顔ではない」。そしてC・Jが彼の前を通り抜けたとき、彼女の香水ではっきりと思いだした・・・。